industofu’s blog

音楽を聴きながら感想をつらつら書くチラ裏ブログです。

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AMK - 29 Palms

CLAUDIO ROCCHETTI - Kennedy Pantheon - Alte Meister

DREADEYE - The World Has Left Us Behind

eRikm - L'Art de la Fuite

THE RITA / HERUKRAT - Red Imprint From Ankle Ribbon

TORCH OF DECAYING LOG - Anthology

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4) Impaled Northern Moonforest - Impaled Northern Moonforest 7"EP

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Label: Menace To Sobriety Records - MTS 005
Format: Vinyl, 7", Limited Edition
Released: 2000

先週からどうも自律神経が不調らしく、目眩・頭痛・吐き気…と音楽聴く気にならない症状がひどい日が続いた。リズムのある音楽は目眩がひどくなるし、かといってノイズやら聴いても頭痛がひどくなるし…。まあ無理して聴くこともないし、「こうやって、心身の変化のせいで音楽が聴けなくなることもあるのかもしれない」と思うと、むしろ持っている音源を整理しておこうという気にもなったので、いい機会だったと思う。自分はあまり「モノ」として音源を持ち続けることに執着はないほうだと思っているのだけれど*1、CDやレコードのラックを見渡して少し整理してみると、意外と死蔵している音源があったことに気付いた。

そういうわけで、何となく手放すのが惜しい気がして長いあいだ手元に置いていたものの、今回やっと手放すことにしたこの音源。このImpaled Northern Moonforestは、一部では有名なブラックメタルのパロディで、やっているのはAxCxのセス・パットナムとジョシュ・マーティン。マーティンがアコースティックギターブラックメタルっぽいリフをかき鳴らし、パットナムがドラムの代わりに自分の膝をペチペチ叩きながら奇声をあげる。もちろん即興(というか思いつき)。お笑いで言うところの「出オチ」みたいなもので、一度聴いて爆笑してしまうともう何度も聴きたくなるような音ではないのだけれど、限定200枚で(メンバーは200枚も売れるはずないと思っていたらしいが)、一部ではカルトなコレクターズ・アイテムとなっているらしいという話を見聞きすると、何となく手放したくない気分になってしまうもので、ずっと「とりあえずモノを持っているだけ」の状態が何年も続いていたわけである。しかし考えてみれば、こういった面白いアイテムは、私はもう十分たのしんだのだからあとは他の人に楽しんでもらったほうがよい。

さて、彼らについて情報を集めているサイトによると、結成の経緯は「1997年のある凍てつく(frostbitten)夜の3時、暇を持て余したマーティンとパットナムは、真性(ジョークだけど)ノルウェージャン・スタイルのブラックメタル・バンドを組むことを決めた。とはいえ、近くに寝ている人がいたので、エレキギターやドラムセットを使うわけにはいかず、アコースティックギターを使い、セスがパーカッションとして自分の膝やマットレスを叩くことになった」とのこと。この一節にも出てくるfrostbittenという単語は明らかにImmortalの"Grim and Frostbitten Kingdoms"を意識したもので、収録曲のうち4曲のタイトルに出てくるほか、クレジットでもA面の録音がGrim And Frostbitten Studios、B面の録音がGrimmer And Even More Frostbitten Studiosとされているなど、これでもかという勢いでパロディ化されている。

www.youtube.com

Immortalの同曲はメンバーが雪山でプレイするビデオクリップ(上の動画参照)が視聴者に衝撃(人によっては笑撃)を与えた曲で、中心人物のAbbathのメイクと併せてブラックメタルが戯画化されるときの定番ネタになっているのだけれど、ネットに蔓延るブラックメタルカリカチュアに比べても彼らINMのユーモアのセンスは素晴らしい。すでに述べたスタジオの名前(Grimmer And Even More Frostbitten Studios)しかり、無駄に長い曲名しかり。無駄に長い曲名というのは、たとえば"Lustfully Worshiping the Inverted Moongoat while Skiing Down the Inverted Necromountain of Necrodeathmortem"のような感じで、他の曲もnecroだのblasphemousだのnocturnalだの、何か「それっぽい」単語を散りばめて遊んでいるのだけれど、私はこの無駄に長い曲名が彼らの音楽以上に面白いと感じている。というのも、ブラックメタルの曲名には"Beyond the Great Vast Forest"とか"Eternal Years on the Path to Cemetary Gates"とか、有名な作品を一瞥しただけでも「なんかちょっと長ぇな…」と感じてしまうものがたしかに散見されるからで、そこに目をつけて徹底的にイジり倒した彼らのセンスはやはりさすがだと思うのである。

ちなみに、クレジットを信用するならば本作の録音は1997年の3月と9月。AxCx名義で発表された全編アコースティックでのラブソングのパロディ、Picnic of Loveの録音が1997年12月。本作でアコースティックギターを使ったパロディの面白さに味をしめたメンバーがさらに悪ノリしてPicnic of Loveの制作に取り掛かった……のかどうかは知らない。

*1:このエントリーを書く少し前に、ピエール瀧の逮捕によって電気グルーヴの音源の配信が停止されたというニュースと、MySpaceにアップされていた音源のデータがすべて消えてしまったというニュースが重なり、予想どおり一部では「やっぱりフィジカルで持っとかないとねぇ」的な反応が出ているが、自然災害等でCDやレコードが破損したというニュースが流れたときには「フィジカルで持っていても安心できない」という声が上がっていたことを私は覚えているので、フィジカルかデジタルかなんてこういう短期的な印象によって左右される考えでしかないと思っている。

3) FASTKILL - Bestial Thrashing Bulldozer

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Label: Pulverised Records - ASH 098 CD
Format: CD, Album
Released: 2011

勢いをつけたいときに聴くと必要以上に勢いがついてしまう、ジャパニーズ・スラッシュメタルの名作。長いギターソロを入れたりせず非常に分かりやすい曲構成で、10曲30分。彼らは以前「B級スラッシュ」を自称していたような記憶があるのだが*1、こういう「速い曲しかできません!」と言わんばかりのアプローチはたしかに敢えてB級に徹している感がある。しかし、Disconformityでブルータル・デスメタルをプレイしていたドラマーをはじめとして各メンバーのプレイはかっちりしているので、リズムがヨレたりするような昔のB級スラッシュではない。「姿勢は敢えてB級」とでも言えばいいだろうか…まあ、そんなことをごちゃごちゃ考えていると横っ面を引っ叩かれそうな攻撃的な作品であることは間違いない。 

1. Kill Fast

ライブの1曲目に持ってこいな、速く短く突っ走るイントロ曲。歌詞は"Kill Fast!"のみ。

2. In Thrash We Trust

1曲目からノンストップで続き、イントロのミドルテンポからビートを振り下ろすようなファストな展開になだれ込んでいく。1曲目で思い切り首を振らせ、この曲で一気にモッシュ〜ダイブでライブハウスを混沌に陥れる、という流れがありありと想像できる。

3. Die in the Pentagram

ビデオクリップも製作されているが、これ以上テクニカルになると暴れにくく、これ以上シンプルだとスラッシュメタルらしい細かく刻み込む感じが薄れる、そういう絶妙なレベルのリフが素晴らしいまさに代表曲。そういえば、GAMYとのスプリットで聴けるGAMYのカバー・バージョンも、部屋で聴いていてもダイブしたくなる疾走感が気持ちいい。

4. Stench of Hell

リフはやや地味で、その分このバンドの特徴である耳に突き刺さるようなヒステリックな高音Voが全面に楽しめる。

5. Terminal Disease

表拍を強調したキャッチーなパートと、細かく刻むリフで16分音符で頭が埋め尽くされそうなスラッシーなパートが入れ替わり立ち替わり切り込んでくる感じ。

6. Guillotine Attack

よく歌詞カードにギターソロのタイミングが書かれていることがあるが、このアルバムのブックレットはそこを単に"guitar solo"とか"lead"とか書くのではなく、細かい遊びが隠している。この曲はその遊びが特に面白く、ミドルパートに入るところに"Extreme rage Drum Roll aggression slipping into coma of souls"〜"Dimension Hatröss Part"なんて書かれている。

7. Toxic Tormentor

"Special Regard to Toxic Holocaust"というメンバーのコメントがすべてを表しているかのような、他の曲よりもテンポ抑えめ、シンプルなリフでとても首が振りやすい曲。

8. Endless Game

NEGAROBOのカバー。ブックレットのコメントによると、ドラムのKazがリスペクトしているようだ。原曲はボーカルの雰囲気は違えどメインのリフはFASTKILLと同様に細かく刻み込むタイプなので、違和感なくはまっている。

9. Tortured Again

もともとは1996年の1stデモ用に書かれた曲とのこと。ギターソロなんかはバッキングのリフも含めてSlayerっぽい。

10. Merciless Onslaught

"satanik middle fucking hell part"と銘打たれた重厚なミドルパートが特徴的な、他の曲に比べるとやや展開にひねりのある曲を最後に持ってきている。

*1:記憶違いだったらごめんなさい。

【勝手に翻訳】MERZBOWインタビュー(1997)

Venereology再発にちなんで、同作品について語っている箇所があるインタビュー記事を読んだので、勢いでゲリラ翻訳しました。Corridor of Cellsというウェブジンに掲載されていたもののようで、ここにアーカイヴされています。翻訳の細かいニュアンス等が気になる方は原文でお読みください。

MERZBOWインタビュー(1997)

ジャパノイズの頂点として知られるMerzbow秋田昌美)は、その獰猛なまでのハーシュノイズというブランドにより多大な追従者を生み出してきた。1990年代に「ノイズ」をポピュラーなジャンルとして確立させた人物として多くの人が認めるこのアーティストを、インタビューを通じて簡単に紹介しよう。

インタビュアーMerzbowの活動はいつ、どのような動機で始めたのでしょう。

Merzbow:ノイズを制作し始めたのは1979年です。楽器を演奏することに飽きて、何か新しい音楽の形式はないだろうか…と探究し始めたのが動機です。

インタビュアーMerzbowという名前は、クルト・シュヴィッタースメルツバウMerzbau)から取られていますよね。これはシュルレアリスム的なコラージュ作品ですが、なぜダダやシュルレアリスムからこのような強い影響を受けたのでしょうか。

Merzbow:特に強い影響を受けたのはアルチュール・ランボーロートレアモンジャン・ジュネといったシュルレアリスム前夜の詩人たちですが、それは彼らの姿勢がロックンロールにきわめて近かったからです。当時わたしは芸術科に通っていて、毎日のように絵を描いていました。そこでまずジョルジョ・デ・キリコとダリに感化され、それからマルセル・デュシャンの著書を読みました。その本ではダダやシュルレアリスムに関することが論じられていて、それを読んで私は、ダダイストたちがなぜ既存の芸術の形式を打ち壊そうとしたのか理解しました。そして、自分は既存の音楽をすべて壊そうと決めたのです。私からすると、ピエール・ブーレーズフランク・ザッパを除けば、本当にシュルレアリスム的な音楽を作った作曲家はそれまで存在しませんでした。また、ブーレーズとザッパにしてもまだ音楽的すぎる。もっと非音楽的なやり方で、本当のシュルレアリスムを実現したかったわけです。さらに言えば、シュルレアリスムとは無意識に触れようとするものです。ノイズもまた音楽の原初的な集合的無意識であるという点で、通じるものがあります。現に、私は即興(improvisation)ではなく、自動筆記(automatism)によって曲を作っています。

インタビュアー:あなたの最初の作品*1にはポルノ写真が付属していましたね。あなたにとって、ノイズとエロティシズムにはどのような繋がりがあるのでしょうか。

Merzbow:ポルノグラフィを使うようになったのは、メール・アートとしてカセットとポルノ写真を一緒に送るということを思いついたのが最初です。私が作りたいのはもっとも低級な形式の音であり、それはポルノグラフィに通じるところがあると思います。ポルノは文化の無意識、人類のリビドーですから。

インタビュアー:日本のノイズ・シーンはどのようにして始まったのでしょうか。Merzbowの活動を始めた頃はどんなアーティストやグループから影響を受けましたか? また、これだけ多くのノイジシャンを生みだすような特別な土壌が、日本の文化(もしくは対抗文化)にはあるとお考えですか?

Merzbow:ノイズというものが生まれる前から、それに関わるようなシーンはありました。1970年代初頭にはロスト・アラーフのようなフリーロック・バンドがいたし、フリーミュージックやパンクの後には非常階段が現れ、1980年代初頭にはすでにノイズ的なパフォーマンスを展開していましたから。ただ、その時期にはまだ「ノイズ」という言葉は使われていませんでした。当時の音楽に携わっていた人たちの多くは、「ノイズ」をスノッブな芸術だと感じていました。わたし自身はすでにノイズを作り始めていましたが、80年代の間はあまり人前でのパフォーマンスはしていません。

インタビュアー:同じような作品を出してマンネリに陥ることなく作品を作り続けることのモチベーションは何でしょうか? 新しい作品を作るときはどんな新しいアイディアやコンセプトを考えるのでしょう?

Merzbow:私はとにかくできるだけたくさんの作品を出したいと思ってやっているので、私の作品を聴く人の多くは作品間での微妙な変化には気づかないでしょう。最近の作品を少し聴いただけだとそう思わないかもしれませんが、例えばあなたが1年おきにその時点での私の最新作を聴き比べていったとしたら、多くの変化に気づかないと思いますよ。私にとってはすべての作品に変化があるのですが。

インタビュアー:ノイズを作るとき、どんなツールを使いますか?

Merzbow:オーディオミキサー、コンタクトマイク、フィルター、ディストーション、EMS Synthi A、発振器…といったところです。

インタビュアー:いろいろな映画(多くは不二企画*2やイアン・ケルコフの)のサウンドトラックも手がけていらっしゃいますね。それらの映画の制作者はどうやってあなたの音楽に関心を抱いたのでしょう。また、どのような映画に使われているのでしょうか。

Merzbow:あるとき不二企画の撮影を見に行って、そこで演奏してみたら彼らが興味を持ったので、音楽を担当するようになりました。イアン・ケルコフの場合は、MerzbowNoise Forestに提供した曲をショートフィルムで使ったのがきっかけだったと思います。その後、『デッドマン2』を制作するのでサウンドトラックを作ってほしい、という連絡がありました。

インタビュアー:過去に話をうかがったあるノイジシャンは、ノイズというのは音楽の一ジャンルなのではなく、それ自体として存在する何かなのだと言っていました。CDという媒体で発表されたものがすべて音楽だというわけではない、とも。この意見には賛成ですか? また、「ノイズ」と「音楽」に何か繋がりがあるとすれば、それはどんなものでしょう。

Merzbow:私の作品においてはノイズと音楽に何か違いがあるわけではないし、あなたが「ノイズ」と「音楽」という言葉でそれぞれ何を指しているのかも分かりません。それは人によって違ってくるでしょうから。もし「居心地が悪くなるような音」を「ノイズ」と言うならば、私にとってはポップミュージックがノイズだということになります。

インタビュー:ライブではしばしば他のアーティストと共演されますよね。ボーカリストとの共演さえありました。どのようなアーティストと共演することが多いのでしょうか。

Merzbow:私の音によってかき乱されないアーティストと共演したい、と思っています。

インタビュアー:1988年にソビエト連邦でライブをされていますね。オーディエンスはあなたが作るような音楽には相当不慣れだったと思いますが、反応はいかがでしたか? そもそも誰の企画だったのでしょうか?

Merzbow:ロシア極東部にあるハバロフスクで開催されたAMUR Jazz & Experimental Music Festival*3に呼ばれたのですが、企画者は雑誌でMerzbowの名前を見たというだけで、日本のハイテク・ミュージシャンだと思っていたようです。それがアナログ・ノイズをやりだすのだから、何をやっているのかまったく理解していなかったでしょう。もちろん彼らは「ノイズ」というジャンルさえ知りません。その日は30分でストップさせられて、翌日も同じようにやったら「もっと音楽的なものをやってくれ」と言われました。彼らにも悪気があるわけではないので、そのときはキーボードとドラムのデュオ*4で音楽らしい音楽をやりました。

インタビュアー:今やノイズは、デスメタルをはじめ他のエクストリームな音楽のファンにも聴かれるようになっています。ノイジシャンがデスメタル(Brutal Truthなど)に影響されることもしばしばだ、とあなたは言っていましたが、音楽的にはまったく異なるこれらのジャンルの間でクロスオーバーが生じると考えるのはなぜですか?

Merzbow:90年代初期のデスメタルからは影響を受けました。特に大きかったのはブラストビートの存在で、ふたたびドラムに興味を持ってBustmonsterFlying Testicleといったバンドを組んだくらいです。なので、Morbid Angelや初期Napalm Death、初期Carcassなどの、いいドラマーのいるバンドが好きでした。もう一点、病理学的なイメージや死体の写真をアートワークに使っている初期Carcassや初期Cadaverは、趣味が近いと感じます*5。GutやDead、Meatshitsなどの過激なポルノを使ったアートワークも好きですね。Merzbowにとっての影響は、グラインドコアのスピードとかデスメタルのエッジの効いたギターの音とか、そういった抽象的なレベルでの影響です。DODのペダルを使うようになったのもデスメタルの影響ですね。グラインドコアは私にとってまったく新奇なものでしたが、デスメタルはむしろ、昔から好きなBlack Sabbathに近いものを感じました。もっとも、今はデスメタルがメロディックになったりミドルテンポになったりしているので、興味を失ってしまいました。今でも聴くのはAutopsyとその他すこしだけです。

インタビュアー:10年後、20年後のMerzbowはどんな作品を作っているでしょう? まだ形になっていないアイディアはあるのですか?

Merzbow:まだ実現していないアイディアはたくさんありますよ。

インタビュアー:Relapseから出た最新作、Pulse Demonについて教えてください。過去の作品とはどういった点が違うのでしょうか。

Merzbow:Pulse Demonはもう最新作ではありません。それ以降CDを12枚、それとレコードも何枚か出しています。なのでここでは、Pulse Demonの前にRelapseから出したVenereologyとの違いについて話しましょう。Venereologyはデスメタルのレーベルから作品を出す初めての機会だったので、「デスメタル」そのものを念頭に置いていました。その辺りのデスメタル・バンドよりもずっとシリアスな死体のアートワーク(私からすると、ジョエル=ピーター・ウィトキンやJ・G・バラードのような)を作りましたし、リズムは過去の作品より少し遅めですが、ずっとヘヴィに、そしてオーバーレベルや汚いサウンドをたっぷり取り入れました。録音中は大量のビールを飲んでいたことも付け加えておきましょう。これらはすべてデスメタルからの影響ですが、スタイルそのものがデスメタルなわけではありません。むしろ、デスメタルよりもっと過激なものを作りたかったのです。一方、Pulse Demonは通常のやり方で作っています。デスメタルを意識してはいないし、録音中に酔ってもいません。音はVenereologyよりクリアでシャープで、よりピッチの高いリズムを使っています。EMSシンセサイザーも使用し、アートワークはPhilips現代/前衛音楽シリーズのような、70年代フランスのエレクトロアコースティックへのオマージュです。基本的にこのジャケットの輝く銀色は、ヘヴィメタルの色――ここでいうヘヴィメタルは、ウィリアム・バロウズが言う意味*6で使っていますが――で、過去にHeldonとKing Crimsonがこのアイディアに手をつけていました。Pulse Demonと一緒にMagnesia NovaElectric Saladも録音しましたが、これら2作はよりシンセサイザーやミュージック・コンクレートの要素を含んでいます。Pulse Demonというタイトルは70年代にイギリスで活動していたアフロロック・バンドDemon Fuzzから取っていて、いくつかの曲のタイトルはジョン・アップルトンのAppleton Syntonic Menagerieのパロディになっています。

インタビュアー:おすすめのアーティスト、バンド、ノイジシャンを教えてください。

Merzbow:私がふだん聴いているのは60%が70年代のプログレ、30%が70年代のエレクトロアコースティックです。70年代初期のロックと前衛音楽はどれも素晴らしいですよ。

*1:Fuckexerciseかな?

*2:緊縛ビデオのメーカー。Merzbowが手がけた楽曲はMusic for Bondage Performanceなどで聴ける。

*3:Discogsの情報だと、イベントのタイトルはJAZZ-ON-AMUR '88IV Soviet Far East & Festival of Jazz & Improvized, Electroacoustic, Experimental Music "We're XX Now"になっている。

*4:MerzboxのDisc 26で聴けるので、ご確認あれ。

*5:参照:Carcass - Reek of Putrefaction, Cadaver - Hallucinating Anxiety

*6:麻薬、もしくは麻薬の酩酊状態という意味…ってことでいいんでしょうか。

2) ERIKM / MICHEL DONEDA - Razine

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Label: Monotype Records - mono043
Format: CD, Album
Released: 21 Dec 2011

最近になって突然、ターンテーブルを使った実験音楽が気になるようになってしまい、そんな矢先にたまたま中古で見つけて買った1枚。

関心を持つようになったきっかけは、京都のParallax Records。このお店には「実験ターンテーブリスト」というコーナーがあるのだけれど、そこで見かけたMILAN KNÍŽÁK / OPENING PERFORMANCE ORCHESTRA - Broken Re/Brokenのジャケット(下図)に目を奪われ、そのまま他の音源のコメントにも目を通すようになり…。

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同コーナーにはもちろん前からちらりと目を向けてはいて、eRikmの音源が置いてあるのは知っていたのだけれど、eRikmといえばリュック・フェラーリと共演してる人というイメージがあったし、ターンテーブルといえば日本では大友良英が有名だし…ようするに、ちょっとお洒落なゲンダイオンガク風エクスペリメンタル・ミュージックなのではないかと思い込んでの聴かず嫌い。ところが、興味を持ってとりあえずBandcampあたりで試聴してみると、これがめちゃかっこいい。最初に聴いたのは、何となくだけどBOBBY MOO - A d v e n t u r e s*1。予測不可能なタイミングで切り込んでくるガサゴソ音はハーシュノイズの高速カットアップとスタイルは違えど同じように刺激的。これからがっつりハマりそうな予感がする。

で、この作品はターンテーブルとエレクトロニクスのeRikmとサックスとエレクトロニクスのMichel Donedaによる共演で、2009年、フランス国立音楽創作センター、GMEAでのライブ録音。

1. Raz

サックスの甲高い音が細切れに響き、何かを擦るようなガサゴソ音が入ってくる冒頭から期待が高まる1曲目。プツプツノイズを散りばめつつ摩擦音やドタバタ・ガサゴソ音が次々に放り込まれてくるようなコンクレート風のサウンドに浸っていると、突然フリージャズ風のサックスやスクラッチが切り込んできてハッとさせられる。

そこから2人のインプロ合戦が展開していく。中盤ではラジオのサンプルと思しき音が出てきてコラージュ風。低音のリズムをループさせてDonedaがサックスを吹きまくる後半はやはりフリージャズ度高め。

2. Rain

2曲目は出だしから一気に密度高くせわしないインプロ合戦という感じ。eRikmのクレジットにLive Samplingとあるので、Donedaのプレイをサンプリングしてその場で加工しているのだろうか、切り刻まれたサックスの音を詰め込むような細かい音の粒子が浴びせられる前半部。そのまま1曲目の後半に似たフリージャズ風の展開になっていくので同じような締め方に持っていくのかと思いきや、eRikmのスクラッチがどんどん存在感を増してきて緊迫したプレイが展開され、緊張感を高めたままぷつりと終わる。素晴らしくかっこいい。

3. Azine

ラストは4分ほどの短いテイク。1曲目冒頭のような摩擦音やスクラッチとサックスがぶつかる展開は他2曲と同じながら、ここでは絶妙なボリュームでうっすらと高周波ノイズを漂わせて幽玄な雰囲気を作り出している。終盤は両者とも爆発的なプレイで締めるのがアンコールっぽい。

*1:これもDL購入したので後日じっくりと。

1) BRIGHTER DEATH NOW - Pain in Progress

前口上

TwitterなどSNSで好きな音楽の情報を集めていて思うこと。

情報が入ってくるのが速くて、さらにBandcampやらYouTubeやらいろいろな手段で試聴できてしまうので、じっくりと音楽を聴く心の余裕がない!

そんなことないよ、という人もいるかもしれないが、少なくとも私は、新たに入手した音源を消化しきれていない感を残したまままた別の音源に興味を持ち目移りしてしまう、ということを繰り返している気がする。ジャケットやブックレットを隅々まで眺めたり、アーティストのインタビューを暗記してしまうくらい読み込んだりすることも減ったと思う。

…というわけで、すごく月並みな気がするのだけれど、ブログ記事として文章化することを通じて、落ち着いてゆっくりと音源を聴く機会を作りたいなと思った次第。

さて、記念すべき1作目は何にしようか…なんていうことを考えたり、何かテーマを設定したりしていると早晩めんどうになるのが目に見えているので、そのとき聴きたいもの、何となく手にとったもの、を取り上げていくことにする。ジャンル分けとかは後でタグつければいいんだし。

BRIGHTER DEATH NOW - Pain in Progress

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Label: Cold Meat Industry - CMI.59
Format: CD, Album
Released: 1998

で、今日手に取ったのはこれ。記念すべき1作目とか考えないとか言いつつも、やはり思い入れのあるものを取り上げたくなってしまい、最初に頭に浮かんだのがBRIGHTER DEATH NOW。作品でいうとこれよりMay All Be Deadのほうが好きだけど、最初にこっちが見つかったので。

Discogsの情報によると、1-8曲目がBomb the Daynursery名義で1988年に発表された同名のカセットの音源で、9曲目以降にコンピ収録曲やら未発表曲やらを収録しているとのこと。ただしカセットのトラックリストには8曲目の"Bloodshower"が見当たらない。CDのクレジットには"1-7 recorded 1988, originally released as CMI-03"と書いてあるし、正しくは7曲目までがカセットの音源なのかな。9曲目以降も若干ややこしいので、分かる範囲でオリジナルの出所をメモっておく。なお、Discogsでは下記のようになっているが、Wikipediaだと「後半の7曲はBrighter Death Now名義で出した同タイトルのカセット」とされている。

1. Shatterer of Earth --> カセットA1
2. Pain in Progress --> カセットA2
3. Certified Dead --> カセットA3
4. Dachau - Anthem --> カセットB1
5. Still Murder --> カセットB2
6. Meat Processing --> カセットB3
7. Heart of Stone --> B4
8. Bloodshower --> 不明
9. Bloodsex & Murders --> 1989年のカセットTemp Tations B3
10. Serapeum --> 1990年のコンピLP Projekt Neue Ordnung
11. Maruta Komand --> 未発表曲
12. Blood on the Sheets --> Temp Tations B4
13. DeathKomh. --> LP版A4に収録
14. Meat Improvement --> コンピVHS Debauch、LP版B5にも収録

本編のカセットが1988年作なので、BDNの最初期の音と言っていいのだろう。Meat Processing (Meat Improvement)やTescoのコンピに提供されたSerapeumのように、これ以降のデス・インダストリアルなサウンドにつながっていくような曲もあるが、全体としてはThrobbing Gristle的な古典的インダストリアルの色合いがまだかなり強い印象がある。

1. Shatterer of Earth

眼の前が灰色になるような無機質なノイズが、微妙に波形を変えながら最後まで続く。1曲目にこれっていうのが私は痺れる。

2. Pain in Progress

低めのドローンと繰り返される打撃音にうっすらとフィードバックが被さるような感じの、ややアンビエント風味な暗いインダストリアル。

3. Certified Death

金属的な打撃音が今度は奥のほうで不鮮明に響き、空間を埋め尽くすような音量ではなく隙間を残すかのように、ディレイをかけた感じのドローンが漂ってくる。人声も入るがあくまで控えめ。それがかえって、聴いていてぞくぞくするような効果をもたらしている。

4. Dachau - Anthem

軽く摩擦を含むような金属風の打撃音が繰り返されるのがとても工場的。カセット版だとこれがB1で、A面もB面も暗く抑揚なく音が流れていく古典的インダストリアルで始まっている。

5. Still Murder

低い音でゴモゴモ蠢くようなノイズが全体を支配するダークな曲。1-2曲目の流れがA面とB面でちょっと似ている。

6. Meat Processing

ここまでの曲に比べると打撃音がずっと攻撃的・金属的になり、細かくパーカッシヴに入ってくるノイズと相まって、タイトルが示すように肉が切り刻まれるような、いやーな感じを醸し出す佳曲。

7. Heart of Stone

全面にフィーチャーされる女性の話し声は、パゾリーニ『ソドムの市』からのサンプリング。それに不穏なピアノが絡む猟奇的な曲で、ここまでの正統派インダストリアルな曲とは雰囲気が違ってやや浮いている。

8. Bloodshower

べったり地を這うような低音ドローンを基調とした、Throbbing Gristle直系という感じの退廃的なインダストリアル。 

9. Bloodsex & Murders

反復されるリズムに低音でゴモゴモいうノイズと何かが軋むような、あるいは管楽器のサンプルのようにも聞こえる音が絡む、他の曲に比べると若干リズミカルな趣きのある曲。 

10. Serapeum

ピッチを変えながら垂れ流されるようなドローンに金属音や人声が被さって、短いながらもTG影響下の古典的インダストリアルから後の作品で聴かれるデス・インダストリアルな方向へ抜けようとしている感のある曲。 

11. Maruta Komand

未発表曲らしいが、本編に入っていても違和感なかったであろう、人声のサンプルを全面にフィーチャーしたインダストリアル。ちなみに、Mz.412 - Legion Ultraへの参加から生まれたJohn Hull (Interlock)とAndi PenguinのユニットMaruta Kommandは、この曲から名前をとったらしい

12. Blood on the Sheets

本編2曲目や5曲目で聴かれるようなゴモゴモ・ノイズ系の曲をより攻撃的にした感じで、ノイズ度高めで圧迫してくる曲。

13. DeathKomh.

前曲に続いてノイズ度高め、機関銃の銃声を変調させたかのようなマッシヴなノイズが反復される攻撃的な、それでいて殺伐とした雰囲気がかっこいい佳曲。

14. Meat Improvement

本編6曲目のMeat Processingのビデオバージョン、ということなのだと思う(LP版では6曲目のタイトルもMeat Improvementになっている)。こっちのバージョンのほうがややエッジの立った音になっている気がする。