industofu’s blog

音楽を聴きながら感想をつらつら書くチラ裏ブログです。

2) ERIKM / MICHEL DONEDA - Razine

f:id:industofu:20190305003252j:plain

Label: Monotype Records - mono043
Format: CD, Album
Released: 21 Dec 2011

最近になって突然、ターンテーブルを使った実験音楽が気になるようになってしまい、そんな矢先にたまたま中古で見つけて買った1枚。

関心を持つようになったきっかけは、京都のParallax Records。このお店には「実験ターンテーブリスト」というコーナーがあるのだけれど、そこで見かけたMILAN KNÍŽÁK / OPENING PERFORMANCE ORCHESTRA - Broken Re/Brokenのジャケット(下図)に目を奪われ、そのまま他の音源のコメントにも目を通すようになり…。

f:id:industofu:20190305003731j:plain

同コーナーにはもちろん前からちらりと目を向けてはいて、eRikmの音源が置いてあるのは知っていたのだけれど、eRikmといえばリュック・フェラーリと共演してる人というイメージがあったし、ターンテーブルといえば日本では大友良英が有名だし…ようするに、ちょっとお洒落なゲンダイオンガク風エクスペリメンタル・ミュージックなのではないかと思い込んでの聴かず嫌い。ところが、興味を持ってとりあえずBandcampあたりで試聴してみると、これがめちゃかっこいい。最初に聴いたのは、何となくだけどBOBBY MOO - A d v e n t u r e s*1。予測不可能なタイミングで切り込んでくるガサゴソ音はハーシュノイズの高速カットアップとスタイルは違えど同じように刺激的。これからがっつりハマりそうな予感がする。

で、この作品はターンテーブルとエレクトロニクスのeRikmとサックスとエレクトロニクスのMichel Donedaによる共演で、2009年、フランス国立音楽創作センター、GMEAでのライブ録音。

1. Raz

サックスの甲高い音が細切れに響き、何かを擦るようなガサゴソ音が入ってくる冒頭から期待が高まる1曲目。プツプツノイズを散りばめつつ摩擦音やドタバタ・ガサゴソ音が次々に放り込まれてくるようなコンクレート風のサウンドに浸っていると、突然フリージャズ風のサックスやスクラッチが切り込んできてハッとさせられる。

そこから2人のインプロ合戦が展開していく。中盤ではラジオのサンプルと思しき音が出てきてコラージュ風。低音のリズムをループさせてDonedaがサックスを吹きまくる後半はやはりフリージャズ度高め。

2. Rain

2曲目は出だしから一気に密度高くせわしないインプロ合戦という感じ。eRikmのクレジットにLive Samplingとあるので、Donedaのプレイをサンプリングしてその場で加工しているのだろうか、切り刻まれたサックスの音を詰め込むような細かい音の粒子が浴びせられる前半部。そのまま1曲目の後半に似たフリージャズ風の展開になっていくので同じような締め方に持っていくのかと思いきや、eRikmのスクラッチがどんどん存在感を増してきて緊迫したプレイが展開され、緊張感を高めたままぷつりと終わる。素晴らしくかっこいい。

3. Azine

ラストは4分ほどの短いテイク。1曲目冒頭のような摩擦音やスクラッチとサックスがぶつかる展開は他2曲と同じながら、ここでは絶妙なボリュームでうっすらと高周波ノイズを漂わせて幽玄な雰囲気を作り出している。終盤は両者とも爆発的なプレイで締めるのがアンコールっぽい。

*1:これもDL購入したので後日じっくりと。